2016年04月30日

ショパンのお茶の大倉さん

GW前半、ゆっくりお過ごしの方も多いのではないでしょうか。

先日、お茶農家さんに、お話を伺うことができました。
普段店頭で販売しているだけでは聞けない、作り手のお話をじっくり聞いて参りましたので、
今日はちょっとゆっくり読んでいただきたい内容にしてみましたよ。




雅正庵には、

「ショパンのお茶」というお茶があります。
お茶の葉が芽を出してから、収穫まで、茶畑でショパンの音楽を聞かせ続ける
という、なんとも斬新なお茶。

先日、NHK静岡放送局の方が、このお茶と農家さんの大倉さんの取材をする
というので、石川も同行させていただきました。
(放映は、NHK静岡の、地域の映像コーナーで撮影当日に放映されました)


「ショパンのお茶」を育てているのは、
静岡市葵区、水見色(みずみいろ)という山合いの地域の大倉さんという農家さん。
雅正庵を経営する、小柳津清一商店の、契約農家さんの一人です。


この日はまずはNHKさんの取材がメインですので、
石川はその様子を、お邪魔にならないように撮影。

大倉さんは、狭い畝間をスタスタと。

その後ろを、カメラマンさんが重たそうなカメラをかついで、
音声・照明さんが、同じく機材を持って進みます。
NHK撮影隊

山間地の茶園は、足を踏み外すと危険。
茶園崖


大倉さんの茶園。
大倉さんの茶園

畝間はフカフカです。
畝間


「水見色」という地名の通り、ここは本当に水がきれいで、
また集落の間を小川がたくさん流れています。

大倉さんの茶園も、小さな沢に挟まれており、
それだけでも「ここは美味しいお茶が採れるだろうなぁ」というのが感じられます。

その水のせせらぎに混じって、音楽が・・・



茶園の端の、そこだけ屋根がある場所に、小さなCDラジカセが。
大倉さんNHK撮影1


周りは、少し離れたところにお寺があるくらいで、民家は無い場所。
音楽をかけ続けていても、ご迷惑にはならない場所です。
眼下にはお寺

ここで、大倉さんは、なんと24時間このCDをかけ続けてくださっているそうです!

電池は充電式というものの、24時間、しかも屋外で茶園じゅうに聞こえる大きさでかけつづけるため、
電池の消耗も大きく、12時間ごとに交換しているとのこと!!

このお茶を店頭で売っていたものの、そんな御苦労は全く知りませんでした!!
しかも雨の日も、ちゃんとCDをかけて下さっているそうです。

大倉さんNHK撮影2



なぜ大倉さんが、こんなお茶を作ることになったのか。


もともと、雅正庵には、「モーツァルトのお茶」というお茶があります。
これは、清沢という地域の農家さんが作ってくださっているお茶。
モーツァルトの音楽を、「お腹の赤ちゃんに聞かせると胎教にいい」とか
「牛に聞かせると乳の出がよくなった」とかその効果がいろいろ聞かれていました。
それで「じゃあお茶にも聞かせてみようか」ということで、
モーツァルトのお茶を作り始めたそうです(こちらの農家さんのお話も、いつか聞きに行きたいなぁ・・・)

そして、モーツァルトのお茶は、マイルドで美味しいお茶で軌道にのったので、
「他の音楽ではどうだろう?」と、本社の品質管理部門の部長・石原は考えたのです。
(彼は農家さんや、茶業関係者と大変つながりの多い者なのです)

石原がいろいろと考えた結果、
「生誕200周年を迎える、ショパンの音楽は、斬新な音楽だと言われている。
本山地区でも、特に斬新な超深蒸しを作る大倉さんにお願いするのはどうだろう!?
大倉さんの茶園なら、音楽を流しても周囲にご迷惑もかからないだろうし・・・」
と、思い至ったそうです。


最初、石原からその話を聞いた大倉さんは、
「(音楽を聞かせてお茶の味が変わるなんて)ほんとかなぁ?」と半信半疑だったそうです。

ところが、2年3年続けていると、
このショパンの音楽を聞かせたお茶が、どうも他のお茶と、何か違う
という風に感じるようになった、とのこと。


芽伸びもいいような。
収穫後にお茶を揉む時も、手ざわりが何か違うような。
製造してみても、味がやわらかいような。

他とは何か違う。そう感じて、本腰を入れて取り組むようになったそうです。

大倉さんin茶園



大倉さんは、弊社の契約農家さんになって15年。
収穫期は、やはり朝は4時台に起き、5時台には前日収穫して荒茶に仕上げたお茶を持って弊社へ来てくださいます。
それが終わったらすぐ茶園に戻り、午前中にその日の新茶を狩ります。
刈り取りを終えたら、製造を始め、夜10時11時までかかることも。
収穫の時期はそれが数日続くのです。

本当に大変ですねと言うと、
「若いころからやってるからね、始まれば気持ちが入るよ」とおっしゃいました。

大倉さん


そんなお話を聞くと、本当にこうして新茶が飲めることが、
とってもありがたいことだと思いました。


しかし、今はペットボトルで手軽にお茶が飲める分、
リーフでお茶を飲むことが減っています。
お茶業界全体として、お茶の葉の、買い取り価格が上がらないのです。

「茶価が下がるから、モチベーションが上がらないんだよ」
そんな本音も、ぽつりとおっしゃいました。


作っている方から、そんな言葉を聞いて、
「やっぱり、もっともっとたくさんの方に、私たちはお茶の美味しさを知ってもらって、
たくさんお茶を買って飲んでもらわなければ!」と強く思いました。



大倉さんは、18歳の頃からお茶づくりに携わり、今年で60年になるそうです。
そんな大倉さんが「何か違う」というショパンのお茶。
新茶のショパンのお茶は、5月半ばごろの収穫です。5月末には新茶のショパンのお茶が、店頭に並んでいるでしょうか。

それまで待てない方は、新茶ではありませんが、今は店頭のショパンのお茶をお試しくださいませ。
濃厚で、まろやか。それでいて、口当たりは良く、まったりと楽しめるお茶ですよ。
(100g1,030円。)


お茶の素敵な写真、募集中です!!
http://gashooan.eshizuoka.jp/e1639126.html




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